静岡 株式会社A・Kトランスポート

法令対応業務の負担軽減のためアプリ開発に挑戦。
プロ人材との協業により半年でアプリが完成。
作業時間が5分の1に短縮され、負担軽減を実現。

株式会社A・Kトランスポート

Profile

企業

社名:株式会社A・Kトランスポート
所在地:静岡県沼津市
業務内容:軽貨物運送事業、アプリ開発事業、総合サービス事業
従業員数:50名未満

プロ人材

名前:Tさん(副業)
居住地:長野県
本業の業種:インターネット・広告・メディア
本業の仕事:営業企画
<プロ人材としての活動>
業務内容:アプリ開発
活動頻度:月10時間程度
活動方法:対面、リモート

  • 法令対応業務の負担軽減のためアプリ開発に挑戦。
  • 圧倒的な経験に加え、面談時に感じた
    「相性のよさ」が決め手。
  • ドライバー目線とプロの知見の融合で、
    アプリの完成度を高める。
  • 半年でアプリが完成。
    業務記録の作業時間は5分の1に短縮。

1)プロ人材活用の背景

法令対応業務の負担軽減のため
アプリ開発に挑戦。

 当社は2013年の創業以来、地域に密着した軽貨物運送事業を主軸に展開してきました。大手物流会社と提携し、荷物の仕分けから積み込み、お届けまでを一貫して行っています。
 運送業界が大きな転機を迎えたのは2025年。貨物軽自動車運送事業の安全対策強化を目的とした制度改正により、ドライバーの労働時間や走行距離をはじめ、業務記録・事故記録の作成・保存ルールが厳格化されました。
 そこで私たちが着目したのは、配布された様式例に沿って、すべて手書きで記録を残している現場の実態でした。 業務記録は1日2枚の記録用紙が必要で、月25日勤務なら1人あたり50枚、過去1年分の保管義務を考えると年間600枚にも及びます。 記録作業はもちろん、この紙の山を保管し続けるのも大変ですが、当社が調べる限り、当時は作業のデジタル化に対応した会社やシステムは見当たりませんでした。

 「現場の負担を減らし、業務を効率化するために、私たち自身でアプリを開発できないか」。そう考え、専用アプリの開発に踏み切りました。 加えて、運送事業は大手物流会社との提携により安定基盤がある一方、社会情勢の変化に備え、新たな事業の柱を作りたいという経営的な狙いもありました。

業務記録の実態

2)応募状況・決め手

圧倒的な経験に加え、
面談時に感じた「相性のよさ」が決め手。

 アプリ開発に踏み切ったものの、社内には開発のノウハウも経験もありません。自力で進めるのは難しいと判断し、外部の専門家の協力を求めることにしました。 そこで、取引のある信用金庫から「プロ人材活用」という手法を紹介されました。
 アプリ開発の募集をかけたところ、約15名から応募がありました。大手企業のアプリ開発経験者や、日本で活躍する海外出身のエンジニアなど、多種多様なプロ人材が集まりました。
 最終的に依頼を決めたのはTさんです。決め手は、実績と経験値。大手企業のサイトや業務支援アプリにおける企画から運用改善の経験を持ち、「ゼロベースでのプランニングを得意とし、 営業企画・マーケティング・制作ディレクションの三位一体でプロジェクトを推進してきた」という説明は心強いものでした。
 加えて、重視したのは「当社との相性」です。当社の経営陣は、既存のルールに縛られず、自分たちの考えで最適解を探る気質があります。 面談を通して、Tさんは単に言われた通りに作る受け身のスタンスではなく、プロの視点から忌憚なく意見を述べてくれるタイプだと確信しました。 Tさんとなら本当の意味での「協業」ができると感じたことも、依頼の大きな理由でした。

3)依頼した業務、業務を進める上での工夫

ドライバー目線とプロの知見の融合で、
アプリの完成度を高める。

 プロジェクト開始後、まず取り組んだのはTさんへの「業界知識のインプット」です。 運送業界の基礎、現場ドライバーの実情、制度改正の影響、記録すべき項目などを丁寧に共有しました。
 その後は、Tさんがアプリの設計・開発を進め、当社は「実際に使い、意見を率直に述べるテスター役」に徹しました。送られてきたテスト版に対して、具体的な改善案をフィードバック。 たとえば「労働時間のリセット機能が正しく作動しない」「レイアウトが崩れて操作しにくい」といった不備や要望を、ドライバー目線で指摘しました。 「より使いやすいアプリにするには何が必要か」という考えを軸に連携し、完成度を高めていきました。
 コミュニケーションはチャットツールを基本とし、深い議論が必要な場面ではオンライン会議を実施。さらにTさんは、当社が拠点を置く沼津まで何度も足を運んでくれ、対面での打ち合わせも重ねました。 こうしたやりとりを通じて、単なる「発注者と受注者」の関係に留まらず、現場を知る当社とシステムのプロであるTさんが、互いの知見を持ち寄り、協業を推進できたと実感しています。

4)得られた成果

半年でアプリが完成。
業務記録の作業時間は5分の1に短縮。

 契約からわずか半年でアプリが完成し、リリースが実現。 アプリ導入により、記録時間はこれまでの15〜20分から2〜3分へ短縮され、業務記録の負担を大幅に軽減できました。 具体的には、アルコールチェックや体調管理などの定型項目はチェックボックス方式で簡略化。 特に手間だった走行距離と労働時間の計算は、走行前後の数値を入力するだけで自動計算され、法定上限までの残り時間が可視化される機能を搭載しています。

目標達成への「逆算思考」。
プロ人材の考え方が新たな学びに。

 成果はアプリの完成だけに留まりません。Tさんとの協業は当社の経営に対する思考の枠を広げました。印象的だったのは、目標達成に向けた計画の立て方です。 当社が「利益×契約数」という積み上げで考えていたのに対し、Tさんは「目標売上の達成に必要な契約件数を逆算する」というアプローチでした。この視点は当社にとって新しく、今後の経営戦略の重要な考え方となりました。 協業によって当初の目的に留まらない新たな学びを得られることは、プロ人材活用の魅力だと思います。

一企業の挑戦から業界全体の変革へ。
アプリを起点にDXを推進。

 プロジェクトは当初の予想を遥かに超えて発展しました。アプリのリリースをきっかけに運輸局などとの連携が決定し、企業団体を立ち上げて、現場の生産性・安全性の向上や業界全体のDX推進に取り組むことになりました。 ここまで話が大きく発展したのも、Tさんと共に取り組めたからこそだと実感しています。今後も協業を続け、このアプリの普及を起点に、当社の成長だけでなく、業界全体の発展に貢献していきたいと考えています。